ヒトはどこから来て、どこに行くのか

環境の急激な変化に適応することというのは非常に難しい


 ヒトはどこから来て、どこに行くのか。

 進化論によると、我々ヒトを含む生物は、不変のものではなく、長い年月の間に環境の変化に応じて次第に変化し、現生の複雑で多様な状態が生じたのだそうです。

 つまり、ヒトの現在の姿は宇宙の誕生以来百数十億年の歴史の中でもまれてきた結果であって、言い換えれば時間も含めたあらゆる要素のバランスの中で現在の我々ヒトが存在するわけです。

 そうしたバランスを崩せば全てがうまく運ばなくなる、というのが我々の身近な仏教、ヨガやインド風水などの広義のインド思想のみならず、おそらくほぼ全ての思想・宗教に共通する考え方なのではないでしょうか。

 「宇宙ができて137億年、そして地球が46億年たっている。その中で、私は地球はまさに生きとし生ける者、人間のみならずすべての生命体、ある意味では生命がないものに対しても存在しているものだと思っております」

 これは、ある総理の国会での答弁です。私もその通りだと思います。

 環境の急激な変化に適応することというのは非常に難しいことです。

 ヒトは、太陽が昇れば起床し、沈めば就寝するという人類の誕生以来ほぼ変化のなかった生活をしてきました。そして、ヒトの体は、それに対応したシステムを長い時間をかけて形作られてきたのです。その長い時間とはどれくらいかというと、現在のヒトであるホモ・サピエンスが出現したのが約20万年前、猿人にいたっては約600万年前までさかのぼることができます。

 これに対して、電気などの出現による生活の大幅な変化は、わずかここ100年ほどのことです。3から4世代程度のことなのです。たったそれだけの期間でそうした生活の変化に心身ともに対応することは非常な困難を伴います。

 したがって、昔からの知恵を注意深く吟味しつつも、活かしていくことが非常に大切なことだと考えています。